私は学生のころ好きな人がいました。その人は競馬が大好きで、その人と出かけたくて、土日はいつも中山競馬場や府中の競馬場に通っていました。当時の私は、ギャンブルには全く興味がなかったのですが、馬の美しさの虜になってしまいました。その後、私は、その彼と別れてしまっても、週末は一人で競馬場に通い、馬を堪能する日々を送りました。そんな日々の中で、私の心を奪ったのが「ディープインパクト」でした。私は、競馬で儲けようなんて思ったことはなく、馬券を買うときはいつも応援馬券でした。つまり、馬の名前の入った単勝の馬券を買い求めていました。しかも、100円しか買わず、当たっても換金せず、と言った具合でした。ところが、ディープインパクトを応援しているうちに、「この馬は負けない」という確信に至り、どんなに払戻金が少なくても、大きな金額をかければ、確実に儲かるのではないか?と思うようになったのでした。そして忘れもしない、宝塚記念。この年の宝塚記念は、阪神競馬場の改修工事で、京都競馬場で開催されました。何を血迷ったか、私は100万円を握りしめて、窓口でディープの単勝馬券を買い求めました。窓口対応をした関西のおばちゃんに、「あんた、なんか、間違ってるよ。考え直しな。まだ、間に合うよ。」と説得されました。関西のおばちゃんは、おせっかいだな、そこがいいのだけど…と、今思い出してもほくそ笑みます。ディープの単勝馬券のオッズは、午前中1.3倍くらいありました。つまり、私の儲けは30万円です。30万円を一瞬にして稼げるなんて、競馬ってすごいな、なんて感心していました。ところが、レースが近づくにつれて、倍率がどんどん下がっていきました。当時のシステムでは、1.0倍があったので、まさか、100万円でドキドキ感だけを買うことになるのでは?と焦りました。結局のところ、ディープは1位をとり、払戻金は単勝110円でした。私は10万円を稼ぐことができました。あれから10年以上の歳月が流れ、私は結婚をして、子どももいます。今、こんなことをしたら離婚されてしまうだろうなぁ、と思うのですが、若いからこそできた無茶だったのかも知れません。逆から言えば、若いころ無茶をしたからこそ、今、落ち着いた生活を送ることができているのだと思います。後悔をしているとすれば、もっと競馬を研究して、3連単とかで大きく当ててみたかったな、と思います。
49歳女 100万円の単勝馬券
